JINCUP-Urushi Hybrid BLUE / 2L

¥48,400
税込

材料:タブノキ(鹿児島県産)

青漆 Hybrid 木固め材

w113 × d78 × h100 容量270cc

 

飲み口から内側まで青漆を塗ることで、口を付ける部分は全て漆で仕上がっています。
漆という物は、塗った当初は茶黒い色をしています。それが、目に見えないくらいのゆっくりとしたスピードで透明に近づいていきます。
その漆に青い顔料を混ぜることでこの「青漆」は作られます。その為、仕上がった当初は燻んだ色をしていますが、時間が経つにつれて鮮やかな「青」に近づいていきます。

一方、外側の木の部分は時間が経つと日に焼けて色が濃くなり、木目が鮮やかに浮かび上がります。
(こちらはいつもの食器用の透明な樹脂を塗っています。)

僕らに出来るのはここまでです。

使う人たちが、それぞれの使い方で、この小さなカップを完成に近づけていただけることを期待します。
大切な人へプレゼントするのもいいでしょう。
プレゼントされた方はその少しづつの変化に、普段は気づかないかもしれません。
ですが、プレゼントした方が時々見ると、変化に気づくものです。

「jincupを大切な人にプレゼントすると贈った人も贈られた人も幸せになれる」
と言っていただけるのは、そういう側面があるからかもしれないなー

この器の完成をあなたに託します。

在庫なし

「JINCUP」1個目のプロトタイプは母の50歳の誕生日プレゼントとして2007年に作りました。
当時の僕は父の家具製作を手伝う傍ら、自分の作品も作っている金のない若造で、手作りしてプレゼントすることが僕に出来る唯一のことでした。
このときは父の家具製作で出た端材を使わせてもらって作りました。
当時の僕には技術が足りず、大変手間をかけた記憶があります。
それから1年以上かかってある程度のクオリティーの物を作れるようになると、ぼちぼちオーダーをいただけるようになり、今後のことも考えて少しづつカップ用の木材を集め始めます。
最初はクスノキやシイノキ、センダンなど、手に入りやすい木材を片っ端から使ってみたのですが、密度が高く粘りがあり加工性も悪くないタブノキで作るようになるまで、数年間試行錯誤を繰り返しました。
日本全国に分布しているタブノキですが、鹿児島の温暖な気候は格好の生育条件で、南九州では多く見ることができます。

タブノキはジンカップ用に、クスノキは皿や家具用に、ヤマザクラやケヤキなどは家具や内装用の木材へ。
用途に合わせ製材所でそれぞれの厚みに挽き、材料置き場で桟積みして乾燥させます。
厚みや樹種によって乾燥期間は様々ですが、しっかり乾燥して使えるようになるまで3~5年間を要します。

僕らは地元の銘木市場で原木を落札したり、南薩のきこりから直接木材を仕入れます。
彼らは市場へ出品するために木を切っているのではなく、クライアントから山を切り開くことを頼まれたり、山の持ち主から木を切らせてもらい生計を立てています。
持ち主は山を管理するために、数十年に一度木を伐採する必要があり、多くの場合その木は鰹節を燻すための薪として枕崎へ運ばれますが、大きすぎる木は薪割りの手間等を考慮して銘木市場へ出品したり、僕らのところへ直接売りにきてくれたりします。
木を切った山はすぐに再生を始め、数年で森になり、50年も経つとある程度大きな木も育ちます。
昨今、世界中の良質な木材をいくらでも手に入れることができ、インターネットの発達で世界中の情報を簡単に手に入れることができるので、良くも悪くも木工品の形が平均化しているように感じます。
地元の木材の性質を知り、その性質に合った形を追求すること。
身近な森がどういうサイクルで回っているかを知ること。
そんな木工集団でありたいと思います。