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JIN CUP

「JINCUP」1個目のプロトタイプは母の50歳の誕生日プレゼントとして2007年に作りました。
当時の僕は父の家具製作を手伝う傍ら、自分の作品も作っている金のない若造で、手作りしてプレゼントすることが僕に出来る唯一のことでした。
このときは父の家具製作で出た端材を使わせてもらって作りました。
当時の僕には技術が足りず、大変手間をかけた記憶があります。
それから1年以上かかってある程度のクオリティーの物を作れるようになると、ぼちぼちオーダーをいただけるようになり、今後のことも考えて少しづつカップ用の木材を集め始めます。
最初はクスノキやシイノキ、センダンなど、手に入りやすい木材を片っ端から使ってみたのですが、密度が高く粘りがあり加工性も悪くないタブノキで作るようになるまで、数年間試行錯誤を繰り返しました。
日本全国に分布しているタブノキですが、鹿児島の温暖な気候は格好の生育条件で、南九州では多く見ることができます。

タブノキはジンカップ用に、クスノキは皿や家具用に、ヤマザクラやケヤキなどは家具や内装用の木材へ。
用途に合わせ製材所でそれぞれの厚みに挽き、材料置き場で桟積みして乾燥させます。
厚みや樹種によって乾燥期間は様々ですが、しっかり乾燥して使えるようになるまで3~5年間を要します。

僕らは地元の銘木市場で原木を落札したり、南薩のきこりから直接木材を仕入れます。
彼らは市場へ出品するために木を切っているのではなく、クライアントから山を切り開くことを頼まれたり、山の持ち主から木を切らせてもらい生計を立てています。
持ち主は山を管理するために、数十年に一度木を伐採する必要があり、多くの場合その木は鰹節を燻すための薪として枕崎へ運ばれますが、大きすぎる木は薪割りの手間等を考慮して銘木市場へ出品したり、僕らのところへ直接売りにきてくれたりします。
木を切った山はすぐに再生を始め、数年で森になり、50年も経つとある程度大きな木も育ちます。
昨今、世界中の良質な木材をいくらでも手に入れることができ、インターネットの発達で世界中の情報を簡単に手に入れることができるので、良くも悪くも木工品の形が平均化しているように感じます。
地元の木材の性質を知り、その性質に合った形を追求すること。
身近な森がどういうサイクルで回っているかを知ること。
そんな木工集団でありたいと思います。

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